「エロ漫画」、お好きでしょ?
毎月鬼のような数の「エロ漫画」が出版・配信される昨今。
我々には、数々のエロ漫画の中から自らを《本当に》満足させることのできるエロ漫画を選び抜く能力が求められる…
ただ一度読んで、使って()、忘れ去る。
そんな「消費するエロ漫画」ではなく、
「ここが私の楽園だ!!!!」
と叫びたくなるような。
何度でも読み返して、何度でも再利用できてしまうような。
そんな「価値のある名作エロ漫画」を。
「文学」と「変態」が好きすぎて、「エロ漫画」にまで「文学性」を求めてしまい、
「変態文学」という謎ジャンルの発信でTwitterのフォロワー1万人越え、
そのアカウントを「公園でポールダンス」で凍結して失い、
もうすぐ二度目のフォロワー1万人に達する、
「オープンエロガールズ」という特集で雑誌に取材も受け、
「<エロマンガの読み方>がわかる本」にも寄稿させていただいた、
変態文学大学生が、ものすごく自分の性癖から【超厳選】させていただきました。
※あくまでフィクションであり、推奨するものではありません。
- 文学的な名作エロ漫画17選
- 「言葉」に翻弄される「肉」:大横山飴先生『落ちない雨』
- 思考の放棄:海明寺裕先生『K9』
- 地下に潜むユートピア:東山翔先生『Implicity』
- 挑発的な「からだ」の賛美:千之ナイフ先生『夜姫』
- 非日常への逸脱:町田ひらく先生『幻覚小節』
- 「エロ漫画」の罪:甘詰留太先生『キミの名を呼べば』
- 絶対不可避「感情移入」:Cuvie先生『Yummy!』
- 理性と欲望の不均衡:みんなだいすき先生『時間が止まればいいのに』
- ○リコンという病:ハッチ先生『せいちょうき』
- ハズレものの青春:クジラックス先生『ろりとぼくらの。』
- 二度目の誕生:天竺浪人先生『黒日夢』
- 完璧な少女のイメージ:谷口敬(平田のりお)先生『義娘』
- 少女の虚な眼差し:心島咲先生『いたいけな鳴動』
- 3桁回使ってる:毛野楊太郎先生『Oh!My DOG』
- 地上の天国:オイスター先生『悪徳乃榮』
- 読む鈍器:みかんR先生『親愛なる大人たちへ』
- 性と死のまんなかで:早見純先生『マドンナのしずく』
- 終わりに
文学的な名作エロ漫画17選
下に行くにつれて道徳を保証しません。
一身上の都合により単行本単位で陵辱シーンのない作品は最初の2作品(好きな話だけなら4作品)のみとなっております・・・
また、これも一身上の都合によりヒロインが少しだけ幼げな作品が多くなっております・・・
心よりお詫び申し上げます・・・
怖い人はタグ解説をよく見てね。
「言葉」に翻弄される「肉」:大横山飴先生『落ちない雨』
- ジャンル:青春
- 性癖タグ:言葉、フェチ(におい)
- キャラ:学生
- ここが「スゴい!」:会話の妙と、思春期の距離感
- 好きな話:「雨宿りの人」「ずっといっしょ」
思春期って、なんだろう。
甘酸っぱい恋心に揺られるセツナイ時代?
猿みたいにオナニーしまくるエネルギッシュな時代?
個人的にはそれは「性」というものへの「興味」と「嫌悪」が奇妙に入り混じる、人間がまだ動物になる前のわずかな時代だと思うんですよね。
大人たちが思い出す「思春期」なんかより、もっとずっと苦しいものって気がする。
大横山飴先生の『落ちない雨』には、そんな思春期の世界が詰まっている。
言葉だって、いつから人間は捨ててしまうんだろう。
思春期のふたりの会話は、もっとずっと頭の中を探り合うように、大切に選ばれたものだ。
私はもうこの漫画の会話を見てると、それだけで泣きたくなってしまって、
「最近はどう?」なんて軽薄な質問をした回数だけ自分を殺したくなります。
まだ自らの「肉体」に対する理解が完了しないあいだ、むしろ「肉」は「言葉」に翻弄されるのだけど、
「言葉」を忘れた「肉」になることほど哀れなことってないよね。
とか思っちゃうくらい愛おしい思春期を、会話と嗅覚から堪能できる作品です。
思考の放棄:海明寺裕先生『K9』
- ジャンル:調教
- 性癖タグ:ソフトSM、犬
- キャラ:大人(女教師)
- タイプ:長編
- ここが「スゴい!」:直接的な性交描写なしで魅せる究極のSM
個人的「ここが天国か・・・?」エロマンガベスト2のひとつ。
「調教」「犬」の言葉にピンときた人は問答無用で読むべき一冊。
調教系のエロ漫画は、性癖ゆえに死ぬほど読んできたのだけど、高確率で設定が甘い。
「そんな弱い脅迫材料じゃあ、貴様には従えんな。」
と、全マゾヒストたちの自我が主張してきちゃう。
でもこの海明寺先生の世界の中で、私たちマゾヒストは完全に身を委ねきることができます。
強気で知的な女教師のパソコンに、ある朝おかしなメールが届く。
そこからサイバー攻撃みたいなのを受けて、主人公は脅迫に従っていくのだけど、その順序に少しも「甘さ」がなくて、読者も安心して屈服できちゃうワケです。
丁寧に、じっくりと、主人公は「K9(=犬)」に仕上げられていくのだけど、
そこに「相手」が登場しない。
性行為の描写は最後までナシ。
「そんなのエロくない」と思った?
残念!世界1エロいです!
【「漢字」禁止 ぜんぶ「ひらがな」で書くこと】とかいう命令、マゾの気持ちを理解しすぎている。
知性という人間性を剥奪されたこの世界では、「思考の放棄」が許されちゃう。
激しい「エロ絵」で興奮を煽るのではなく、妄想スイッチを全部オンにしてしまうような言葉とシチュエーションで魅せる究極のSM。
何度も何度も読んでいる、運命のエロ漫画。
「思考の放棄」と「マゾヒスト」の関係についてのツイートはこちら⤵︎
地下に潜むユートピア:東山翔先生『Implicity』
- ジャンル:セクサロイド、SF
- 性癖タグ:ソフトSM、同性、嘔吐、(陵辱)
- キャラ:少女
- タイプ:長編
- ここが「スゴい!」:絶対に好きな少女×シチュが見つかる展開の数、設定の濃密さ
陵辱タグついてるけどそんなに痛くないよ!
ロ●漫画界で圧倒的人気を誇る東山翔先生。
代表作『Gift』の帯に書かれた
【この漫画に出会える可能性が高い、それだけでロリコンは勝ち組。】
の言葉はあまりにも有名。
『Implicity』は二巻にわたって地下世界のセックスロボ少女たちを描いたSF超大作(エロ)。
最高品質の画力で描かれる美少女と、その多種多様な欲望の形…
※なんで外で読んでるの?という点には目を瞑ってくださいね
絶対に性癖にばっちしくるシチュエーションが見つかるシコリティの高さを誇りながら、
最後にはこの世界が終わってしまうのがせつなくなるような世界の濃密さ。
ぜひ二巻とも読んでほしい作品です。(最後の写真二巻だし)
⭐️ただいま60%オフ!
挑発的な「からだ」の賛美:千之ナイフ先生『夜姫』
- ジャンル:幻想、和風
- 性癖タグ:ソフトSM、陵辱、フェチ、人形、刺青
- キャラ:少女
- タイプ:短編集
- ここが「スゴい!」:徹底された少女崇拝
- 好きな話:「からくり座敷」(この話は非・陵辱だよ!)
この世界には少女以外に「顔」がない。
「お兄さま」は棒で目隠し、「お父さま」は骸骨で、それ以外もメガネや仮面で顔ナシだ。
少女だけを慈しむ世界に邪魔者はいらないというワケですね。
少女たちは過剰に装飾されたり、過剰に破壊された裸体を妖しい匂いがたちこめる幻想世界でさらけだす。
『嗚呼・・・これほどまでに破壊された挑発的な美しい「からだ」を持つ少女達を見ていると僕は「めまい」をおこしそう・・・・・・・』
千之ナイフ『夜姫』アリス文庫
人間には「損なわれた肉体」に惹かれてしまう人が一定数存在して、
もちろんわたしもその一人で、
それは「挑発的」だからだったんですね・・・先生・・・となってしまうワケですね。
80年代ロ●コンブームを耽美な世界観から担ってきた大先生のうちの一人・千之ナイフ先生のこの『夜姫』は、
『エロマンガ・スタディーズ』の永山薫さんが、『エロマンガベスト100』で七〇・八○年代必読エロマンガとして挙げていた単行本で、
その徹底された少女讃美世界は、眺めているだけでなんだかとろんとしてきて、幻想世界にトリップできちゃうような作品。
非日常への逸脱:町田ひらく先生『幻覚小節』
- ジャンル:ときめき
- 性癖タグ:複数、陵辱、言葉、死生観、いじめ
- キャラ:少女
- タイプ:短編集
- ここが「スゴい!」:ときめきの魅惑、非日常への逸脱
- 好きな話:「蜃気楼回線」(この話は非・陵辱だよ!)
わたし、町田ひらく先生に人生を乗っ取られそうなんです。
ファンの多数が女性という町田ひらく先生の魅力は
「詩的な言葉の使い方」とか、
「少女の体つき」とか、
「全てを見据えるような眼」とか、
「あとがきから伺われる恐ろしいほどの洞察力」とか、
一生かけるくらいあるんですが・・・
ほぼ全巻単行本持ってる中で特にこの作品が好きな理由をめちゃくちゃ簡単にいうと、
ちょーつまんない世界の中にも、まだ「ときめき」が残ってたかー
ってことです。
平凡な日常を過ごす主人公がめちゃくちゃ偶然出会ったこの「トパーズ」
この完璧なビジュと、「明らかにヤバい状況」を天秤にかけながら、
「常識粉砕への第一歩」 「第二歩」
町田ひらく「蜃気楼回線」『幻覚小節』
って頭の中で考えてる。
これってもう「ときめき」。
そんな馬鹿なって思うかもしれないんですけどねえ、
わたしはこのエロ漫画を読んで「生きよう」って思ったんですよ。
「ときめき」をまた探しに行こうって。
常識粉砕への第一歩をまた歩みに。
※代表作『卒業式は裸で』も同列一位なんですが、そちらは私のバイブル『エロマンガベスト100』でも紹介されているのでね・・・
レビューツイート結構気に入ってる&反響あったので⤵︎
「エロ漫画」の罪:甘詰留太先生『キミの名を呼べば』
- ジャンル:青春
- 性癖タグ:複数、陵辱
- キャラ:学生
- タイプ:短編集
- ここが「スゴい!」:「肉便器」という設定にアンバランスなほどの「ココロ」
- 好きな話:「キミの名を呼べば」
「君の名は」みたいな青春胸キュンエロ漫画だと思った!?
残念!ハートフルボッコ漫画だよ!
初恋のあの子が・・・学校に備え付けの肉便器になってました・・・!
「肉便器」なんて設定はエロ漫画界ではかなりお馴染みのものだけれど、
甘詰留太先生は、便器の「ココロ」を無視しない。
後で出てくるみかんR先生の単行本で、甘詰留太先生は、「エロマンガの業」について語っていて、
我々は我々の妄想のために、マンガの中の少女たちを不当に酷い目にあわせている・・・!
という罪の意識をこの漫画からはものすごく感じます。
というか、今書いてて気づいたんですが、
そういう作品だからこそ、女性の私も楽しめるんじゃないかな。
あまりにも都合が良い快楽堕ちは、「こんな都合いい妄想してさらに愛されようとしてんのか」って呆れてエロに集中できなくなってしまうのかも。
とか怖いことを言ってみます。
⭐️ただいま半額!
絶対不可避「感情移入」:Cuvie先生『Yummy!』
- ジャンル:日常
- 性癖タグ:複数、陵辱、イチャラブもあるよ!
- キャラ:学生~大人
- タイプ:短編集
- ここが「スゴい!」:「王道」に長けすぎるという「異常」
- 好きな話:「HOLE」
わたしはCuvie先生が怖い。
Cuvie先生の話はこれといって設定が奇抜とか、展開が意外とか、そういったことはない。
割とエロ漫画ではよくある感じの話が多いのだが・・・
だが・・・引力がスゴい。
はじめて買ったCuvie先生の単行本で、この「HOLE」にぶち当たってすっかりビビってしまった。
恐ろしい嫌悪感。辛い。
どんな鬼畜猟奇エロ漫画をも「傍観者パワー」で乗り切ってきた私が、感情移入せずにはいられない。
これが「妄想叙情系の鬼才」のなせる技なのか・・・とハマってしまい、80%オフだった4冊続けてスルっと読んでしまった。
こんなことエロ漫画でまあありえないですからね・・・普通飽きるので・・・
もはや「異常」ですよ。
理性と欲望の不均衡:みんなだいすき先生『時間が止まればいいのに』
- ジャンル:切ない、SF
- 性癖タグ:陵辱
- キャラ:少女
- タイプ:短編
- ここが「スゴい!」:笑顔の2ページ
- 好きな話:「ストップウォッチ防水¥980」
昔、百合好きの男が言ったんですよ。
「俺は百合が大好きだ。だがそこに俺は必要ない。」
こうやって、人には相反する感情が芽生えることがある。
そういう矛盾をテキトーに受け入れていくことが人間の社会生活ってどうでもいい経済学の本に書いてあったけど、
矛盾に悩んで、苦しんで、少しでもなくそうと足掻いてこそ人間じゃん。
とか、「文学的エロ漫画」「名作エロ漫画」に興味をもつみなさんなら思ったりするんじゃないでしょうか。
この「ストップウォッチ防水¥980」は、あの○リコンの聖書コミックLOをして「到達点」と言わしめた傑作。
私もこの前寄稿させていただいた本の特集「日本短編エロ漫画傑作集」の3選のひとつにも選びました。
ネタバレないで読んでほしいので内容は伏せますが、途中に出てくるエロ漫画らしからぬ光に満ちた2ページの美しさや結末を是非見てください。
思わず息をのむ瞬間を体験できるでしょう・・・
寄稿した記事に長文レビューも書いてます。
○リコンという病:ハッチ先生『せいちょうき』
- ジャンル:家族、業
- 性癖タグ:陵辱
- キャラ:少女
- タイプ:長編「沼」+短編
- ここが「スゴい!」:人はそう簡単に変わらないという絶望
- 好きな話:「沼」
さて、この辺から甚だしく人の道を外れた作品になっていきます。
現実と虚構の区別がつかない方は帰ってね!
「普通に生きているように見える人」の抱える、「ロ●コン」という不治の病。
ハッチ先生の問題連作「沼」は、その不治の病を抱えた人間の闇を詰め込んだような作品。
《過去を捨て、娘たちと幸せに過ごす主人公の元に、かつての悪友が現れ平穏な日々が崩れていく…》
人は成人年齢に達したくらいで変わらない。
大学を卒業したからって変わらない。
子供を産んだからって、変わらない。。。
よく考えてみれば、「なんで子供が好きなの?」は「なんで女の子が好きなの?」と同じくらいどうにもならないことだよネ。
「ダメ」があってから人が生まれてくるわけじゃないし、世界がノーマルを定義するなら、いつでもアブノーマルは生まれてくる。
だから変態はノーマルになれるなんて希望を抱いちゃいかんってことですよね。
世界が続く限り。
ハズレものの青春:クジラックス先生『ろりとぼくらの。』
- ジャンル:青春
- 性癖タグ:陵辱
- キャラ:少女
- タイプ:長編「ろりともだち」+数作品
- ここが「スゴい!」:泥だらけの青春に大号泣
- 好きな話:「ろりともだち」
私が初めて買った「エロ本」はクジラックス先生の『がいがあかうんたあ』なのですが、
私が初めて涙を流した「エロ本」がこのクジラックス先生の「□りともだち」です。
大学に馴染めず微妙な生活を送っていた主人公が、ロ●コン仲間と出会い、甚だしく人の道を外れていくという話。
おかしなことしでかしたら真っ先に伝えたくて、
ふたりでいると根拠もなく「最強」で、
一緒にならどこまでも堕ちることがでいて、
出会わなければもっと「まとも」でいれたのに、
つないだ手は肉体的な欲望から離れて、
エロ漫画なのに、「青春」の中身をぜんぶ暴いてしまった作品。
勢いあまりすぎてエロ漫画よまない友達に
「これ…エロ漫画なんだけど内容良すぎるから読んでみて…」
とおそるおそる勧めてめちゃくちゃ引かれるなどしました。
なんとエロ垢でのレビューツイートが、クジラックス先生本人からRTいただいた…感激・・・
涙なしには読めない名作。ちゃんと外道です。
二度目の誕生:天竺浪人先生『黒日夢』
- ジャンル:調教
- 性癖タグ:陵辱、スカトロ(大)、死生観、言葉
- キャラ:大人
- タイプ:長編「ひる」+数作品
- ここが「スゴい!」:
- 好きな話:「ひる」
人の性癖を歪める作家ナンバーワン天竺浪人先生の作品です。
別のエロ漫画記事で紹介した『WILD FLOWER』で、私含め多くの一般人を見事にうんちワールドに目覚めさせてしまった先生のこの「ひる」。
恋人にプロポーズされてる最中に「ヒル」の話はじめるというなんとも個性的な女性が、粘着質な男に監禁されるお話。
彼女は自分の変態性のために、素敵な恋人よりも醜悪な欲望を持つ男が似合うと思っています。
彼女は「淫乱」なのか。「変態」ということは「淫乱」と同じことなのか。
しっかりうんちを交えた激しい調教の中で、彼女の内部世界がぐるぐると描かれ、おぞましくも美しい終局へと繋がっていきます。
読み終わった後、生まれ変わったような気持ちになり、新しい世界が(二つの意味で)ひらける禁書です・・・
わたしは不思議でたまらない。
あまりにも良いエロ漫画に出会うと、スラスラ〜〜〜っと突然ツイートが出来上がり、後で読み返して「え?これ本当にわたしがかいた文章・・・?誰・・・?」となることがあって、これがそれです⤵︎
完璧な少女のイメージ:谷口敬(平田のりお)先生『義娘』
- ジャンル:狂気
- 性癖タグ:近親
- キャラ:少女
- タイプ:短編
- ここが「スゴい!」:少女の孕む無尽蔵の狂気
- 好きな話:「麻由子」
私にとって「少女」とはこの麻由子そのもの。
鬱ゲー『狂った果実』のキャッチコピー【少女は狂ったぐらいが気持ちいい】の通り、
少女は善意の天使じゃない。
森鴎外の娘の森茉莉が、サド侯爵のことを
「自然で、無邪気な、悪魔を隠さない」
森茉莉「あなたのイノサン、あなたの悪魔」『私の美の世界』
と評したように、「無垢」は天使を意味しない。
大人にとって「狂気」と映るその「無垢」は、軽薄な大人が安易に商品化するようなものであるはずがない。
美少女に「キャハハハハ!!」なんて言わせて、猟奇的なことをさせていれば、「狂ってる~」なんて人気が出る時代だけれど、
「麻由子」の中に蠢く「無垢」は、そんな安っぽい「狂気」を黙らせてくれる。
「麻由子」の眼に宿る、「幸せになること」に一途で貪婪な闇が、私たちが隠してきた「無垢」の部分に語りかける。
エロ漫画で鳥肌がたつことってあるんだ、と人生ではじめて思った大好きな作品。
好きすぎてついに先日紙バージョン入手しました。
変態文学飲酒会くる人は見せたげます。
少女の虚な眼差し:心島咲先生『いたいけな鳴動』
- ジャンル:陰鬱
- 性癖タグ:陵辱、いじめ、虐、ホラー、複数
- キャラ:少女
- タイプ:長編「叢」+数作品
- ここが「スゴい!」:まとわりつく陰鬱な世界観
- 好きな話:「叢」
アダルトOKサーバー、この好きすぎる表紙を思い切り載せれて嬉しいいいいいいい!!!!!
私は心島咲先生の描く少女の顔面が全てのエロ漫画の中でぶっちぎり一番「クる」んですが、
面白いことに、これ、遺伝子レベルの嗜好のようで、マッマも心島咲先生が大好きなんですよねえ。
先生の本はほぼ全て購入済みですが、中でもこの「叢」という話が大好きでしてね・・・
深い陰影の中、虚な眼差しの少女。
タイトルのセンスもさることながら、扉絵のセンスも性癖直撃。
田舎街で男たちの慰み者になる少女の、何を考えているのかわからない眼差しがこちらを見つめる・・・
激しく抵抗するわけでも、恨みを募らせるわけでもなく、ただ静かな眼差しでこの田舎の街に佇んでいる少女は、不安と衝動を煽ります。
全ての頁から、陰鬱な田舎の空気が漂い、唐突なホラー展開も相まって独自の世界観を構築する心島咲先生ワールド全開の作品です・・・
ホラーを隠してツイートしたら、フォロワから「トイレに行けなくなった」と苦情がきたのでオバケ注意報だしときます!笑
3桁回使ってる:毛野楊太郎先生『Oh!My DOG』
- ジャンル:調教、SF
- 性癖タグ:陵辱、犬、ハードSM、スカトロ(大)
- キャラ:学生
- タイプ:長編「犬嫌い」+数作品
- ここが「スゴい!」:「犬」としての幸福
- 好きな話:「犬嫌い」
先生に、恋してます。
まごうことなき、私の人生ナンバーワンエロ漫画。
そんじょそこらの主従漫画をなぎ倒す「ガチ犬」エロ漫画の傑作です。
本物の「犬」が絶滅、人間の記憶や知性を消されて犬化させられる世界の話。
人間の尊厳を捨てること。それは「不幸」なことではない。
「《天国》への憧れとは人間が人間ではありたくないという強い願いなのである」
ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』
とミラン・クンデラの名著『存在の耐えられない軽さ』に出てきますが、この漫画を読んでいると本当にそう思う。
人間の「自尊心」や「羞恥心」が、悲劇を産む。
何も理解できない「犬」ならば、愛されることだけを知る「犬」ならば、何も恐れることもない…
もしも「人間性」が必要ならば、それは「恥辱の喜び」を知るためだけなのではないのかしら…
人間のもつ「自尊心」と「羞恥心」の秘密をすべて知り尽くしているとしか思えないこの傑作漫画、
冗談抜きに、もう100回以上読んでます。
私が「犬」になれる日はいつかな・・・
そう夢見ながら、今日もまた、この漫画を読むんです。
ちなみにこの単行本は去年8番目に売れた漫画としてこちらの記事にも載ってます・・・♡
地上の天国:オイスター先生『悪徳乃榮』
- ジャンル:調教
- 性癖タグ:陵辱、ハードSM、スカトロ(大)、ピアシング
- キャラ:学生
- タイプ:長編「暗澹」+数作品
- ここが「スゴい!」:完璧な扉絵、人間を辞める愉悦
- 好きな話:「暗澹」
オイスター先生も私の偏愛作家の一人です。
どれくらい偏愛かというと、オイスター先生のエロ漫画だけをまとめ記事を作ったくらい偏愛です。
その記事でも紹介したんでここにはコンパクトにまとめますが、
①鬼畜漫画のすべてが集約された完璧すぎる扉絵
②人間が人間のまま辿り着けるこの世の天国
の二点です。
さっきの「犬」はたぶん我々が生きてる間中には無理なんで、そうなるとこの形でしか地上の天国を目指せません。
神なき日本人の最終形態鬼畜エロ漫画、ぜひご堪能あれ。
読む鈍器:みかんR先生『親愛なる大人たちへ』
- ジャンル:青春
- 性癖タグ:陵辱、ハードSM、虐、近親
- キャラ:学生
- タイプ:短編
- ここが「スゴい!」:
- 好きな話:「KISS ME」
オイスター先生と順番迷ったんだけどねえ、多分こっちの方が拒否反応出る人多いんじゃないかなって・・・
なんたって、わたしですら「ウェエエ」と声出たもん。
おかしいと思ったんですよ。
この単行本、1作品目からほぼ全員不幸な目にあってるのに「KISS ME」なんて可愛いタイトルに弾ける笑顔の青春二人。
それは帰宅すぐに「お父さん」の登場によって破られて・・・
ちなみにみかんR先生の作品では「お父さん」と「お母さん」は大抵カスです。
この単行本には巻末に他のエロ漫画先生たちからの感想コーナーがあるんですが、そこでG=ヒコロウ先生がこの短編に対して
「通りすがりに殴られたようなもんですよ!!」
と言っていてまさにまさに・・・と共感しまくってしまったので「読む鈍器」と紹介させていただきました。
記事の前半で出てきた甘詰留太先生もこの「KISS ME」が大好きみたいで・・・
とにかく可哀相な女の子がたくさん出てくるみかんR先生作品の中でもトップレベルで「痛い」作品でございます・・・
しかし、その辺のただ「痛い」「可哀相」なだけの作品とは違って、
甘詰留太先生曰く、
「罪の重さに自覚的な“みかん漫画”の業の深さ」
が堪能できる作品となっております・・・
性と死のまんなかで:早見純先生『マドンナのしずく』
- ジャンル:猟奇
- 性癖タグ:陵辱、ハードSM、スカトロ(大)、死生観
- キャラ:学生
- タイプ:短編
- ここが「スゴい!」:扉絵×タイトルのセンス、脳汁噴出
- 好きな話:「冬の少女」
ま、最後はそりゃ早見純先生でしょうな。
早見純先生の紹介文に、どんなことが書かれているか、皆さんはご存知ですか?
「人間のあらゆる行為のうち最も恥ずかしくないこと、それが性行為」
ですよ。やばくない?
とにかく読むと脳汁が噴き出す、カルト的人気が爆発しまくっている早見純先生。
早見純先生の作品はどれも扉絵とタイトルのセンスが好きで好きでたまらなく
(※別単行本にも「47kgの荷物」とか「15分でABC」とか「美しき屈折」とか良すぎるの死ぬほどある)
甲乙つけがたいのだけど、今回は「冬の少女」を選びました。
理由は私がはじめて読んだ早見純先生作品で、「え?私の脳内?」と思ったからです。
内容は全然言葉では説明できませんので、扉絵でググッときた方、
脳内から「倫理」をアンインストールできる方だけお楽しみください。
ツイートも好評だったので貼っときます⤵︎
終わりに
前のサイトで作ってめちゃくちゃ反響あった文学的エロ漫画15選記事がサイト崩壊でぶっとんだので新しいサイトで作り直しました。
前サイトはぶっ飛んだおかげでエロ要素がなくなりグーグルアドセンス承認!
新しいサイトはアダルトOKサーバーなので前回よりもかなり自由に書けるので結果オーライ!直してくれたフォロワに感謝です・・・
ええ、□リばっかじゃんという意見は甘んじて受け入れますよ。
だって実現不可能こそが幻想と可能性の領域ですもの。
そんじょそこらのエロ漫画オススメ記事では決して出会うことのできない、
ディープなエロ漫画をたっぷり載せた愛の溢れる記事になっていると思います。
ああ書いてて楽しかった。
エロ漫画好き女子がリョウジョク漫画を好む傾向について考察している記事もございます👇
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